「勝率・698は200勝以上の投手でトップ」。この数字を聞くだけで、クレイトン・カーショー投手の凄さが伝わります。しかし私が一番心を動かされたのは、この18年間をドジャース一筋で過ごしたことです。これは「個人が成長し続けられる環境」と「組織が人を支え続ける姿勢」の両方があって初めて実現するものだからです。なぜこれが大事かというと、働く人が安心して挑戦できる環境が整っていなければ、長期的な成果は続かないからです。人は失敗もしますし、調子を崩す時期もあります。その時に「ここにいていい」と思える場所があるかどうかで、キャリアの持続性は大きく変わります。カーショーの18年は、組織の安心感が個人の挑戦を支え、個人の挑戦が組織の伝説を築いた好例です。私自身、係長になってから「人が辞めてしまう寂しさ」を何度も経験しました。ある後輩が「この会社に自分の居場所がない」と言って去っていった時、私はすごく悔しくて、自分の力不足を痛感しました。その後、チーム全員と一人ひとり面談をして、正直に「私はどう支えればいい?」と聞きました。すると、意外にも「相談の時間をもう少し取ってほしい」とか「小さなことでも認めてもらえると嬉しい」といったシンプルな声が返ってきたんです。その瞬間、私は“支えるとは難しい制度を作ることではなく、日常の小さな安心を積み重ねること”だと気づきました。だから私の結論はこうです。「チームに小さな安心を生むことを、今日から一つ実行してみる」。具体的には、誰かの小さな成果を口に出して褒めること。それだけでも「ここにいていい」と思えるきっかけになります。カーショーのような大記録はすぐには作れませんが、安心の積み重ねがあれば、18年先に伝説を残せるかもしれません。