正直に言うと、ニュースで「Sora」が悟空やピカチュウを勝手に登場させていると知ったとき、少しゾッとした。AIがここまで創造できるなら、人間の役割はどこにあるのだろう?と。けれど、冷静に考えると、それは「AIに負ける」話ではなく、「AIとどう協働するか」の話だと気づいた。AIは確かにすごい。けれど、AIには「人の感情」や「チームの空気」を読む力はまだない。私たち人事が日々大切にしているのは、まさにそこだ。AIが生成する映像がどれだけ完璧でも、人の想いが介在しない限り、共感は生まれない。AI時代に求められるのは、“感情を扱う力”だと思う。私が係長になりたての頃、初めて後輩を育てたときのこと。完璧な教育プランを作ったのに、全然うまくいかなかった。後輩は焦り、私は苛立ち、空気が重くなった。けれど、ある日「最近、元気ないね」と何気なく声をかけた瞬間、彼女が泣き出した。そこから関係が変わった。あのとき、「人を動かすのはロジックじゃなく、共感なんだ」と痛感した。AI時代の人材育成も同じだと思う。完璧な仕組みより、 imperfect な人間の温かさがチームを動かす。だから私たちが今すべき第一歩は、「AIにはできない関わり方」を磨くこと。たとえば、同僚の小さな変化に気づく、感謝を言葉にする。そうした一瞬一瞬が、AIと共存する未来を“人らしく”するんだと思う。