「日経平均は257円安の45,045円で取引を終えた」――このニュースの数字だけ聞くと、「意外と落ち着いているな」と思う人も多いでしょう。実際、日銀がETFを売却すると発表した直後は市場が一時動揺したものの、全体の影響は限定的とされています。しかし、注意すべきはその裏で特定の銘柄に偏った影響が出ていることです。例えばファーストリテイリングやTDKのように日銀の保有比率が高い企業は、売り圧力が強まりやすい。つまり「全体」は安定していても、「一部」には大きな負担がのしかかっているんです。これは組織運営にも通じるものがあります。チーム全員が元気そうに見えても、実は一人のメンバーに負担が集中している、そんなことは珍しくありません。私自身、採用プロジェクトを任されたときに同じことを経験しました。全体のスケジュールは順調に進んでいるように見えたのですが、ある若手社員が一人で膨大なエントリーシートを抱えていたのです。彼女の疲れた表情に気づいた瞬間、胸がギュッと締め付けられるような感覚になりました。「全体が順調に見える」ことに安心して、個人の負担に目を向けられていなかった自分を悔やみました。その経験があってからは、表面的な数字や進捗だけでなく、個人の声や表情にも注意を払うようにしています。ニュースは私たちに「全体の数字に安心するだけでは足りない」ということを教えてくれます。チームでも同じで、大切なのは「全員が安心して働けているか」を確認する視点。今日からの一歩として、みなさんも隣の同僚に「大丈夫?」と一言声をかけてみてください。その小さな気づきが、組織全体を支える大きな力になるはずです。