正直に言うと、僕は「ゲームで脳が鍛えられる」という話を聞いて、最初に「面白そう!」とテンションが上がりました。でも同時に、エンジニアとして「仕組み上の課題」も頭に浮かんできたんです。研究では、レーシングゲームが高齢者の集中力を改善したり、ポケモンGOが歩行を促して記憶力にも影響を与えると示されています。これは確かにポジティブな成果ですが、仕組みとして考えると「正しい使い方を前提にした場合」に限られます。逆に、過剰にやりすぎれば依存や生活リズムの乱れに直結します。僕らエンジニアは、どんなシステムも「使い方を誤れば不具合を生む」という原則を知っています。僕自身、AIを導入して業務を効率化したときに「仕事が速くなった!」と喜んだのも束の間、社員の一部が「判断を全部AIに任せてしまう」という新たなリスクが生まれました。技術は便利であるほど、人間の側の設計や制御が甘いと副作用も大きい。あのとき感じた「便利さの裏に落とし穴がある」という怖さは、今でも忘れられません。だからゲームも同じです。「遊びで脳を鍛える」ことは素晴らしいですが、システムとして設計するなら「どのくらい、どんな条件でやると効果があるのか」を明確にする必要があります。僕たちが今日からできるのは、まず「時間と目的を意識してゲームを使う」ことです。10分のパズルで気分転換するのか、週に数回ポケモンGOで歩くのか。技術は敵でも味方でもなく、中立の道具です。その設計者は、結局、僕たち自身なんだと思います。